新たな年2021年が始まりました!昨年は世界の誰もが計画通りに物事を進めるのが難しかった1年でしたが、私たちPanicは Nova をリリースしPS5向けの新しいゲーム Nour: Play With Your Food をアナウンスし、各種アプリのBig Sur、Apple M1そしてiOS 14への対応を行いました。
今年は昨年を超える超エキサイティングなプロジェクトが進行中ですがその前に、小さなギフトを皆さんに1つプレゼントしたいと思います。
昔々のことですが、私たちは古参Mac用MP3プレーヤーのひとつとしてAudion(オーディオン)をリリースしていました。このAudionがMacの歴史の1ページであったことに感謝し、その歴史を保存しようと努めてきました。昨年3月には Audionのフェイスを、新しい形式に変換して保存できるようにしたことをお知らせしました。
その結果 867 のフェイスの変換が完了し、残りの15 のフェイスの変換に現在、取り組んでいます。私たちの把握しているすべてのフェイスになります。
本日、これらのすべてのフェイスを実際に体験できる機会を皆さんにご提供します。macOS 10.12以降の環境で動作する Audion(簡易版)をリリースします。
これは簡易版でAudionの本格的な復活ではありません。音声ファイルやストリーム再生が行えますがプレイリストは未実装で、今後のサポート予定もありません。主な目的はフェイスを切り替えて表示させることです。加えて、これらのフェイスがどのように動作するのかを決定するソースコードと変換されたフェイスのアーカイブもリリースします。
いくつかのフェイス
フェイスアーカイブの中には何百もの素晴らしいAudion用のフェイスがあります。いくつかは伝統的な音楽プレーヤーのインタフェースで、当時の最新のOS Xに影響されたピンストライプやブラッシュドメタルが溢れています。その他にも大胆な光沢やスキューモーフィズムの影響を受けたフェイスが並びます。このPaul Johnsonによって生み出された「TokyoBay」フェイスはそれら美学の集合として良い例でしょう。光沢あるLCDにはトラック情報が表示されていました。
もちろん、すべてのフェイスがこれらのカテゴリに分類されるわけではありません。Rudluphによる「PP」は、 Y2K Aesthetic Institute にぴったりです:
テーマ機能を搭載する他のソフトウエア同様、Audionも休日をテーマにしたフェイスが人気を集めていました。Andy Pratiotoによる「Bescherung」はトラック再生中の時間表示をクリスマスライトに巧みに置き換え、アニメーション化しました:
Audionのフェイスは、どれも再生中のアニメーションを表示させることで実際に生き生きとしてきます。インターネット接続によるストリーミング再生がサポートされていましたが接続とバッファリングに長い時間がかかる可能性があり、その間UIは静的でした。Audionがフリーズしていないことをユーザに示すため、接続中およびストリーミング中にアニメーションを再生します。多くのフェイスアーティストが楽しいストリーミングアニメーションを作成しましたが、Chris Fayetteによる「Slap Happy」にはチャップリンのThe Cureから、10秒のクリップが含まれていることに驚かされます:
アニメーションが無ければ優れたフェイスとは言えない、ということはありません。Dr. Joseph A. Gardnerによる「StickyAudion」はMac OSに標準搭載されていたスティッキーズに偽装し、メモのテキストにコントロールが隠されていました:
この種のインタフェースは楽しいですが初めて操作するとき、どのように機能するのかを理解するのに1分以上かかることがあります。過去数十年に渡るインタフェース設計はGUIを可能な限り直感的に使いやすいものにすることに重点を置いてきました。これが、テーマ機能を搭載するソフトウエアが時代遅れになってしまう主な理由のひとつです。極端になりすぎて、操作ボタンがどれなのかをクリックしないと見つけられないものもありました。しかしながらUIデザインの新しい方向性を探究しながら、型破りなGUIデザインを可能にしたものも多く存在しました。Margaret Trauthの「Contragravity」は使いやすく楽しいフェイスで、私のお気に入りのひとつです:
また情報フィールドに記載のURLがいまだに有効な、貴重なフェイスのひとつでもあります。フェイスに含まれているURLやメールアドレスはほとんどが期限切れや放棄されています。約20年前に作成されたことを考えると当然かも知れません。フェイスアーティストが多くの時間と労力を費やしたすべての作品がインターネットからほとんど消えてしまったと考えるととても悲しいことですが、人々は変化し、新しい興味を発見し、その過程でインターネット・アイデンティティを再発明します。
私たちも大きく変化しました。今でも最高を信じてMac用のシェアウエアをいくつか開発していますが、携帯ゲーム機Playdate(プレイデート)の様な新しいエキサイティングなものに取り組んでいます。これが可能なのは企業として常に前を向き、次の課題を模索し続けているからです。一方でAudionは私たちの過去の重要な部分であり、フェイスを再び生き返らせることにとても興奮しています。
さらに
Audion保存プロジェクトはここで終わりません!
昨年3月のブログ公開後、何人かのフェイスアーティストと連絡を取り、彼らがいくつかの楽しい情報を共有してくれました。
2001年、Joel DayはAudionのフェイスを作成するための開発ツール「FaceEdit」を公開しました。このアプリはクラシックMac OSでのみ機能しますが現在、製品版が無償で公開されています — もちろん支払いを希望される方はどなたでもGitHub sponsorsを通じて送金できます。新しいフェイスを作ってみましょう!
さらに、永らく知られていなかった驚くべき歴史の一部を。Paul Johnson、先ほど紹介したTokyoBayフェイスの作者は、キャンセルされリリースされなかったAudion 4のためのデフォルトフェイスのモックアップを送ってくれました。これまでに見たことがないものです:
最後に
Audionと、多くのフェイスについて楽しんでいただければ幸いです。残りのフェイスの変換が完了したらTwitterでお知らせします。
2021年、皆さんにとって明るく楽しく有意義な1年になりますように。