Campo SantoとPanicのMac / PC / PlayStation 4用 1人称アドベンチャーゲーム製作における第一歩は2013年でした:
How Panic got into video games with Campo Santo – Dave Tach, Polygon
今回は Firewatch 英語版の発売開始から1ヶ月とちょっとが経過した現在までに起こった様々を、ここに記したいと思います。お楽しみください。
Reviews
大げさでなく — 発売日が近づくにつれ、私の胃は難破船そのものでした。未知のものに取り組む時、必ずこの症状が顔を出します。しかしFirewatchのレビューが公開されるにつれ徐々に落ち着いて行きました。ここでは私のお気に入りのいくつかをご紹介します:
IGN – Ryan McCaffrey
“It is among the very best of the first-person narrative genre, and it reminds us what video game storytelling is capable of in the right hands. It’s a game I can see coming back to every year or two just to revisit its beautiful sights and memorable characters – just like a good book.” 9.3
Rock Paper Shotgun – John Walker
“Firewatch is a rare and beautiful creation, that expands the possibilities for how a narrative game can be presented, without bombast or gimmick. It’s delicate, lovely, melancholy and wistful. And very, very funny. A masterful and entrancing experience.”
Polygon – Colin Campbell
“In the end, it feels like it’s about the emotions and cares of real people, not the animations of puppets.” 8.5
Wired – Chris Kohler
“It’s an emotional gut-punch all the way through, for many reasons, and largely a pleasure to explore and find yourself lost in—mentally, if not geographically. This is your next must-play story, another voyage to a place games don’t often take us.”
The Mary Sue – Marcy Cook
“Firewatch deals with love, loss, and how you put yourself together again after trauma. It does all this in a clever and engaging way that will have you emotionally connected to both Henry and Delilah. All of this is wrapped in a fun game that, once completed, I played over again.”
The Guardian – Nathan Ditum
“The writing is not just believable, it is likeable and funny. Henry and Delilah’s exchanges are full of the familiar tug and tarry of people getting to know each other, of playing and of flirting, and of reaching out to feel less alone.” ★★★★☆
それ以外にもインタビュー記事や、ジャンルについて言及するクールなものもありました:
Firewatch and the Addictiveness of Lonely Video Games – David Sims, The Atlantic
‘Firewatch’ creators mix heartbreak and the creeps – Todd Martens, Los Angeles Times
Playing With Words – Laura Hudson, Slate
Video Games Where Hearts, Not Guns, Drive the Action – Chris Suellentrop, The New York Times
そして素晴らしき実況者の面々 — Markiplier(思慮深く爆笑もの)、iHasCupquake(姪のお気に入り!)そして Jacksepticeye など多くの人がFirewatchのプレイ実況を配信してくれました。私のざっくりとした計算ですが1500万回以上(!)再生されており、ちょっと理解が及びません。(私たちのゲームをプレイしてくれるEpicSorenの様な配信者との出会いが毎日のようにあり、とても影響を受けました。)
本当に、Firewatchへの反応は圧倒的かつ驚異的でした。
Sales
Panic基準でのFirewatchの成功はCampo Santoのそれと若干異なると思いますが、私たちの考えうる出来る限りのベストなゲームを届け、投資を回収したいと考えていました。
ではどうだったか?Firewatchの予算は私たちにとって莫大で、しかし品質と業界における標準額においてはつつましいものでしたが、発売初日で投資額を回収することができました。またFirewatchは発売初月で約500,000本が売れました。(さらに2月におけるPlayStation Storeで最も売れたダウンロード版タイトルにもなりました!)インディーズゲームでありながら”リアル”なタイトルであるCall of DutyやStar Warsなどのゲームを抑えたことで、Firewatchの販売は成功したと言えるのではないか、と考えています。
この結果には本当に感謝しており、救われました。ありがとうございます。
Improvements
様々なケースで、ゲームのリリースとAppsのリリースにおけるステップは似ています: リリース前のテストが重要で(実際に私たちはあらゆるプラットフォームでゲームを遊びまくりました!)何をすると壊れるのか、人々は何を考えどのような操作を行うのかを感じ取る作業は莫大で膨大です。
これもまたAppsのリリース後と同じですが、ツイートやフォーラムを読んだり、残業したり、深刻な問題があればできる限り迅速に修正したりを繰り返し行いました。こうして問題を修正した後、修正が正しく反映されたかタイムラインをチェックしたり、無数のフォーラムをチェックしました。Campo Santoのメンバーはより良くするためクレイジーに働きました。例えば、PlayStation 4版で著しいパフォーマンス不足が指摘されましたが、すぐにパッチを公開し、ドラマチックにパフォーマンスを改善して見せました。
さらに良いニュース: 私たちの改善はこれで終わりではありません。その他の問題にも取り組んでおり、特にPlayStation 4とMacでのパフォーマンスの改善を予定しています。
(側注: リリース時のメンタル面でCanpo Santoとは大きな違いがありました。私たちは誰にとっても最適な、継ぎ接ぎの無いストーリーを準備したつもりです。しかしある人はFirewatchのエンディングを賞賛し、また別の人はそうでは無い。どちらの意見や感想も正しいものです。しかし私たちは’リアルライフ’ストーリーを描きたく、そして現実の最後は静かで悲しいと考えました。プレイいただいた皆さんの意見や感想はどれもとても素晴らしく考えさせられました!)
Fotodome
ご存知かどうか分かりませんが、私たちPanicはFirewatchのためにちょっとヘンテコなこと — ゲーム内で入手できる使い捨てカメラで撮影した写真をエンディングで選ぶと、私たちのサーバにアップロードすることができます。
ここから、今日アップロードされたカメラロールを確認できます。
さらに、ご希望であればこの写真をプリントしてお届けします。しかも送料込みで$15。
金額からもお分かりいただける通り、これは決して大きな利益を生むようなものではありません。しかし確信しない何かをちょっと試すのに非常に特別な機会だと考えました。バーチャルな旅行の後、個人的な思い出を物理的に手に入れる体験というのはどんな感じでしょうか?
実に214,802枚の写真がアップロードされ、June(ありがとう!)が1,000セット以上を出荷しました。
出荷作業の模様はこんな感じです:
Panic. Makers of your favorite OS X and iOS apps… and printers of your in-game Firewatch photos. It goes like this: pic.twitter.com/cOgWRrzNO1
— Panic Inc (@panic) 2016年2月11日
(ちょっとしたトリビア: 写真と別にプリントされるQRコードが優れもの。これをスキャンすると特別なURLが生成され Indicia Mac(出荷作業用ソフトウエア)が起動、ユーザの出荷データが入力されます。プリント作業の手間が省けるのはもちろん送料分の切手と出荷ラベルまでもが印刷されます!このWebシステムの構築及びFotodomeサイトはPatrickによって行わました!)
ここに、このクレイジーな企ての逸話があります。この計画には一貫した世界や空気観: ゲームの舞台である1989年から27年の時を経て届けられた封筒であるようにすることが大切でした。Nevenと私(Cabel)はそのようなルック&フィールの創作に多くの時間を費やしましたが、最初はこのサービスを行う写真屋の名前を決めるところからスタートしました:
名前が決まると — Nevenはナイスな円形のロゴを生み出し、私がそこに(遠くOlly Mossレベルには及ばないものの)空白のラインを加え、そこにマッチするフォントを選んだりしながら、レトロな写真用包装袋のデザインをし始めました。
後にJakeから、ゲーム内でカメラを得た際のDelilahのセリフについて指摘がありました:
Try not to snap anything that would scar a photomat employee.
何をしなければならないか、私たちはすぐに気付きました。Cissyにお願いし、スタジオで改めてセリフの録音をお願いしました:
Try not to snap anything that would scar a Fotodome employee.
こうして、FotodomeはFiwawatchの世界の一部に、完全になりました。
(ここでDelilah役のCissy JonesとHenry役のRich Sommerに触れないわけにはいきません。彼らとの出会いは本当にラッキーで、その素晴らしい演技によりゲームに深みを与えてくれました。)
これらのことはBenやJakeなどCampo Santoメンバーの持つ、”よし、とにかくやってみよう!”精神が無ければ成し遂げられなかったでしょう。時間を忘れてUIデザインを行ったりコードを書いたりしてアップロードする。本当にやりがいのあるコラボレーションでした。
最後に、クールな反応もありました。私たちは包装にもこだわり驚きを与えたく、小さなプロモーションを行いました。Lazy Game Reviewsによる写真の”開封の儀”動画をご覧ください。 私たちのプレゼンはうまくいき、彼はFotodomeが実際の写真サービスだと思っていました!
Writings
ものづくりは素晴らしいです。しかし作ることだけがすべてでは無く、それについて人々が話してくれます。ストーリーについてのディスカッションを見ると彼らの思いはどこから来るのか、またその感触は彼らの生活のどこに関連しているのか — “これがサポートされるまで、星ゼロ!!!!” App製作の世界だとこうなります。
ここに私のお気に入りのライティングをご紹介します。これらにはゲームの内容が含まれていますが、もしFirewatchのプレイ後でしたら、どれもとても楽しめると思います:
Firewatch: Story Explanation and Analysis – Ewan Roxburgh, Press Start
Firewatch Am I A Good Man? Thoughts On Firewatch – Alec Meer, Rock Paper Shotgun
Learning to Love Nature with Firewatch – Gita Jackson, Paste
Firewatch Took Away Our Ability to be Good People, That’s Where it Shines – Olivia White, Polygon
So what about the men? A deeper look at Firewatch and Catherine – Katherine Cross, Gamasutra
On Firewatch – Dina Abou Karam
Firewatch, Projection and Isolation – Reid McCarter, Paste
How Firewatch Reminded Me to Remember – Jefferson Geiger, ZAM
Team Bucket – The Incomparable
10 Moments You May Have Missed In Firewatch – Hayley Williams, Kotaku
(もし私が見逃していたら、ぜひ教えてください!)
Fan Art
比較ばかりで申し訳ないのですが、このようなファンによる作品が見られるのもナイスです。OS X用ファイル転送Appの新バージョンをリリースしても、このようなアートは生まれません。Firewatchをプレイしてくれた人々によって生み出された作品の数々は本当に楽しいです。ほんの一部ですが、ご紹介します。
(それぞれのアートをクリックすると、アーティストのオリジナルページにジャンプします。)
Firewatchをプレイし、インスピレーションを得て、作品に仕上げた皆さんに感謝申し上げます。
Notes
• エンドクレジットに使われているBGMのライセンス契約は私たちにとって面白いチャレンジでした。まず曲のパブリッシャーを見つけ、マスタ音源の所有者を見つけ、それぞれとライセンス交渉を行う必要があります。私はそれらの会社にボイスメールを送りますが、一向に返事は来ませんでした。最終的に私たちはライセンス交渉のエキスパートを見つけ、2、3日で解決できました。? LA: It’s Who You Know™.
• 私たちが最もお金を使ったマーケティングは去年のGDCの期間中に行ったプレビューでした。その効果はとても高く、今でもその時のことを話す人がいますし、人々に”このゲームは実際に開発されているんだな”と認識してもらうことができたと考えています。
• さらに感謝したいこととして: ソニーの人々は素晴らしく、最後まで私たちの予想外の躓きを助けてくれました。 驚くべきSteamでのプリオーダー数やデリケートなソニーの認証のサポートなど、各社のすべての担当者は私たちのゲームに興奮し、極めて協力的でとても助かりました。
• “より糸のようなイントロ”を秘密にし続けることはトリッキーでしたが価値あるものでした。私たちはプレビュー版にそれを含めず、プレスイベントでも見せませんでした。リリース前にゲームのすべてが知られている世界では、1つか2つのことを隠しておくと素晴らしいことになる、ということです。
• (私のお気に入りの内輪ジョークは未来のCampo Santo版機関紙についてです。いつかお話ししましょう。)
Ending
Firewatchのリリースを見届けた後、私とSteveはSan FranciscoにあるCampo Santoのオフィスと壁を隔てた小さなバー Thee Parksideに向かいました。そこでジョークとコーンドッグをつまみに呑みながら、心からチームのひとりひとりに賞賛と感謝を伝える、ちょっと感動的な時間を過ごしました。生活上の犠牲や想像力、激務と素晴らしい仕事のすべてに感謝します。Sean VanamanとJake Rodkinは簡単では無かったが、同じ屋根の下で過ごした愛すべきチームを前に素晴らしいスピーチをしました。成し遂げたことの余韻に浸りつつも、ちょっと奇妙だけれども底抜けに陽気な感情をその場の皆が感じていたと思います。どうしてこれができたか?その確率は?とにかく私たちはやり遂げました。そして私はSeanとハグをし言いました。”またやろう。” 以上が、Firewatchの本当のエンディングです。
(Campo Santoのすべてのメンバーに私たちからの誠実な感謝を。Sean, Jake, Jane, Chris, Olly, Ben, James, Patrick, Nels, Gabe, Will, そして Paolo — あなた達と出会い、共に創り上げる過程は本当に楽しかったです。)
[原文]